ドラクエユアストーリー雑感 -よく訓練された観客が故の悲劇-
原作付きの作品を監督するのは、「プロメア」の記事で載せたように難しい。
2時間でまとめるためにどれを削り、どれを強調するのか、どうすれば視聴者を満足できるためにネタを仕掛けることができるのか、古参のファン、新規のファンを満足させるためどのような脚本にするのか。
そして、この作品を監督する自分らしさをどこに付け加えるべきなのか
原作をそのまま映画化するというのは極端な話ではあるが誰でもできる。
あらかじめ筋書きが建てられているため、印象に残ったシーンを切り張りすればよいのだ。
しかし、それでは映画監督としては面白くない、そこで自分自身でしか魅せられないエッセンスを仕込む。
宮崎駿はルパンで成功し、原恵一監督はクレヨンしんちゃんで成功した。
しかし、これは賭けに近い、エッセンスと原作がミスマッチしているとクソ映画へと堕ちてしまう、鋼の錬金術師やテラフォーマーズが良い例だろうか。
では山崎貴監督はどうだったか?ドラえもんの3D版で監督を務め実績はある
・・・残念であるが彼は賭けに失敗した
理由は簡単である、ドラクエという映画に対して何を期待していたのか、どのような客が見るのか想像していなかったのである。
スクエアエニックスはそれを予想していたはずである、だからこそ悔しい思いがあるのだ。
もう少し何とかならんかったのか・・・
(ネタバレをしないとこれは語れぬ)
続きを読む鉄コン筋クリート今更な雑感 -ケムリクサを添えて-
「海獣の子供」が公開されるので東京MXで「鉄コン筋クリート」が放送された。
原作者の松本大洋は「ピンポン」などの代表作で知られる、アニメ版や映画版もとても良い出来だったのを覚えている。
さて、「鉄コン筋クリート」は面白かったのだが、公開当時の18歳ごろの自分が見たのであればシロとクロの活劇だけで見て評価してしまったのかもしれない。
その時の自分であれば、躍動感があるがハッピーエンドではなくモヤモヤとした内、後半に関しては心象風景ばかりでテーマ性の薄い気持ちの悪い作品だった。
というように話してしまうだろう。
しかし、ケムリクサの物語の多層構造をというものを触れるとと「鉄コン筋クリート」はまた違った視点で面白いのである。
シロとクロの関係、ネズミとイタチの関係両方の視点で見るとこの物語は「深み」のある物語だったと感じ、この物語のテーマもわかってくるのである。
この映画のテーマは「押し寄せる時代の流れにどう向き合うか」だと感じた。
(以下ネタバレあり)
続きを読むバースデーワンダーランド雑感 -この美しい世界には「影」が必要だ-
たつき監督いずれ新作を発表するのであれば私も鍛えなければならぬ。
とにかく色々な作品を見て酸いも甘いも見極めなくてはいけない。
というわけで見ました「バースデーワンダーランド」
監督はクレヨンしんちゃん「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ! 戦国大合戦」の原恵一
特に「オトナ帝国の逆襲」の方が自分は思い入れがある方だ
元々は原作ありの作品だが作品名が「地下室からのふしぎな旅」とう別名タイトルなので一ミリも知らなくても見れる内容だろう。
感想は一言でいうと美しい、とても美しい作品である。
絵や背景、どれをとっても緻密に書き込まれている。
しかし、美しい色彩だけなのだ、色が失われていく世界が舞台だが、この世界には「影」が足りない
続きを読むケムリクサ全話見たら自分はどんなアニメが「好き」がわかった件
ケムリクサ読書感想文 -「ケムリクサ考察班」の考察-
正直言えば、おもしろい。
他人がおもしろいと言っているのではなく純粋に
ただなぜ面白いのかというと言葉にするのが難しい、全部書き切ってみたが、自分の語彙力のなさに反省したくなるほどだ、それほどこのアニメの魅力を語るのは難しい。
絵がいいから?深いメッセージ性があるから?物語に奥行きがある?
それであればエヴァンゲリオンやまどかマギカ、最近だったらSSSS.GRIDMANの方がはるかに優秀だ、誰だってそう思うし私だってそう思う
しかしだ、それでも「ケムリクサ」を私は視てほしいと思う
特にこれからクリエイターを目指したいのであれば絶対に見てほしい、絶対に、この作品は間違いなく2,3年後のアニメを描いているのだから。
※全話通してみた感想なのでネタバレに関しては悪しからず
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